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Vol.58 日本のREITは高騰しすぎか?!

 今回は、日本のREIT事情について考えていきたいと思います。

■J-REIT市場について

 REITという金融商品は、本来は、売却益よりも、その利回りが注目され、“プチ大家さん”の感覚で中長期にホールドしていくことが商品性にあった投資スタンスだと思います。しかし、ご存知のように、日本のREIT市場であるJ-REITの動きは、地価の上昇・不動産価値の上昇を背景に高騰しています。ひとつの指標となる、東証REIT指数は、2007年2月上旬現在、2300ポイントを越え、史上最高値を付けています。当然、利回りは低下しており、比較対象とされる長期金利の1.735%に迫る勢いで利回り2%台を割り込むREITもでてきました。

 また、ゼロ金利解除後、利上げの機会を常に伺う日銀の動向もあり、金利上昇を考えると、J-REITはすでに高すぎるという声も一部では聞かれるところです。確かに、これまでのような大幅な上昇は期待しにくいかもしれませんが、VOL.57でも触れたように、“不動産”は同じものが2つと存在しない実物資産だけに、利便性やステータスとも感じられる立地などには、今後、さらなる付加価値が期待できる可能性があります。そのような不動産の持つ特性から、REIT先進国の米国では、ファンドを対象にしたM&Aが起こっており、そうそう入手できない優良物件を組み入れているファンドの魅力は絶大で、時価総額によっては、魅力的なそのファンドをまるごと買いたいという動きが日本で起きても不思議はないでしょう。

 今後は、利回りや時価だけでなく、組み入れている物件を重視したファンド選びが運用成績を一層左右することになるかもしれません。そう考えると、J-REITを直接買えば掛からない、売買手数料・信託報酬といった手数料の存在が気に掛かりながらも、ファンドによっては、目利きに手数料を支払う気持ちで、J-REITへのファンド経由の投資も検討する余地はあるのかもしれません。

今回のポイント

1.REITを保有することで、手軽にプチ大家さんになれる!
2.ここからJ-REITは、組み入れ物件に注目したい!


知っておきたい一冊
有望株の選び方有望株の選び方

作者: 鈴木 一之
出版社/メーカー:日本経済新聞社
価格: ¥872(税込)

株を持ち続けるには、その銘柄が、今後、評価されていくはずの根拠をしっかり抑えておくことが欠かせないと私は常々思っていて、このblogでもお伝えしているメインテーマです。この本には、経済・景気という大きな流れによって形成されていく株式市場のなかで、確信に近い根拠を探しだす方法が、わかりやすく、かつ、詳しくまとめられています。新刊本ですが、のちのち“投資家のバイブル”になりそうな名著だと思います!!自分にとって最適な根拠の見つけ方を身につけたい人にオススメ。

 野尻美江子

マネー
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2007-03-06 16:56  nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
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Vol.57 不動産投資信託(REIT)の魅力

 これまで、キャピタルゲイン(売却益)を期待するアクティブ型の投資信託を中心に、株式投資を続けていくうえで役立ちそうな、さまざまなタイプの投資信託をみてきました。 

 今回は、以前ご紹介した毎月分配型ファンドに期待するものとはまた違うものの、本来はインカムゲインを期待する金融商品のひとつである、不動産投資信託(REIT)についてみていきたいと思います。

■不動産投資信託の魅力とは

 不動産投資信託は、REIT(リート)と呼ばれ、日本で上場されているものをJ-REITと呼んでいます。ファンドごとのコンセプトにより、オフィスビルや商業施設、居住用マンションなどを組み入れ、そこから得られる賃料収入をベースに、投資家に収益を還元していく仕組みです。

 “不動産”というと、昔から資産分散を考えるうえで、その一角を担う存在。実物資産である不動産は、資産価値を実感しやすく、保有する預貯金や株式との相関性が低いこと、インフレに強いことなどから、「いつかは保有したい・・・」と考えている方も多いでしょう。しかし、現実には、まとまった資金が必要で、賃料収入を得ようとなると、いわゆるアパート経営などのノウハウが必要で、ネット環境の整備や内装の工夫など、常に人気物件であり続ける努力とコストが求められます。いざというとき売却するにも時間と神経を使います。

 REITは、そんな不動産が抱える、大口資金が必要、換金性が低い、物件に手が掛かるといった欠点を補い、手軽に“不動産”への投資ができる、資金調達面にも優れた金融商品です。日本でも、2001年にREIT市場が誕生して以来、ポートフォリオの中では立派に“不動産”としての分散効果を発揮しながら、証券取引所に上場されているため、株式と同じように「時価で売買できる」流動性(換金性)を併せ持ち、ファンドによっては20万円程度からの投資が可能という、“プチ大家さん”的なニーズに応えることができる商品といえます。

■不動産投資信託への投資法

 不動産投資信託への投資を考える場合、直接、REIT、J-REITを買う方法と、VOL4950でみてきたバランス型ファンドのうち、REIT、J-REITを組み入れているファンドに投資する方法や、世界中の複数のREITあるいは複数のJ-REITに分散投資するファンドを活用するなど、さまざまな選択肢があります。不動産に向ける資金には限りがある場合も多いと思うので、資金の増加に応じて商品をステップアップしていくのが現実的かもしれませんが、バランス型ファンドでひとつ抑えておきたいことがあります。REITを組み入れるバランス型ファンドの場合、一言で言えば、ファンドがファンドを買う、”ファンドオブファンズ“という仕組みを活用して、ある程度の手数料で、さまざまな投資対象への分散を可能にしています。”ある程度の手数料“と書きましたが、ファンドがファンドを買う、ファンドオブファンズでは、どうしても手数料がかさむ傾向があるといわれています。

 一方、最もREIT市場が活況な米国では、すでに百数十本のREITがあり、2007年1月には、欧州圏で先行する、フランス・オランダ・ベルギーに続き、イギリスでもREIT市場が開設し、ドイツ・イタリア・スペインでも開設が検討されています。そうなると、ますますリサーチできない部分をファンドに任せる発想から、世界の複数のファンドに分散投資できるREITファンドの存在も気になるところ。直接、REITやJ-REITを買うメリットとともに、検討してみると良いかもしれません。次回は、日本のREIT事情についてみていきたいと思います。

野尻美江子

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2007-02-27 22:56  nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
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Vol.56 国内株式型投信を組入れるか否か

 今回は、現在のあなたのポートフォリオに、実際に、国内株式型ファンドを組入れた方が良いのかどうかという視点で考えていきたいと思います。

■国内株式型の長所

 私が思う、国内株式型ファンドの最大の長所は“わかりやすさ”です。なぜ上昇したのか、あの急落時をどのくらいで凌いだのかなど、ファンド選びに重要な運用履歴から読取れる投資センスがとてもわかりやすいのです。レポートをみても、細かい部分まで、相場に対する共通の感覚がよみがえってくるので、時には同情さえしてしまいます。

 運用報告書などで、実際にどのような銘柄を売買していて、どの程度の利益・損失を出しているのかを、同じ時期に同じマーケットで勝負してきた者のひとりとしてチェックしていくと、「確かにこの時期、この銘柄を買っているのはさすが・・・」と関心することや、「まだまだ伸びそうなのに、全部売却しなくても・・・、もしかして大量の換金が発生?!→純資産総額を確認」など、ファンドの様子がつかみやすいのです。

 とにかく、馴染み深いマーケットを投資対象としているだけに、自分に合ったファンドが選びやすく、同時に投資判断もつきやすいはずです。

■それでも、国内株式はETFで充分?という方に

 個人投資家が運用できる資金は限られているわけで、個別銘柄以外でも日本株で運用できる安心感はわかっても、投資信託経由の国内株式型への投資は、「いいとこ、手数料の安いETFで充分」と考える方もいるかもしれません。その気持ちもとても良くわかります。

 でも、さまざまな金融商品を対象として、今の自分のポートフォリオに必要なものはないかと、定期的に検討してみる姿勢はとても重要で、その結果今は「無理」・「必要なし」となっても、その商品の存在をしっかり把握したことがのちのちの運用スキルを高めてくれると思うのです。もう少し年齢がいって、気持ちに変化が生じたり、運用資金にゆとりができてから国内株式型ファンドを活用してみるという結論でもいいと思います。

 あるいは、各セクターに共通することですが、「積立て購入」という方法もあります。時間は掛かりますが、“高いときには少なく、安いときには多く”購入していく、ドル・コスト平均法が効くことと、自分がストップしない限り、相場動向に関係なく指定日に購入してしまう強制力は、人間にはなかなかできることではありません。私自身もファンド積立てを利用していて引落し日を毎月27日にしているのですが、2003年4月27日もいつものようにある国内株式型ファンドを購入していて、少し経ってみれば、翌日の2003年4月28日は日経平均株価が最安値7607円88銭をつけている・・・「積立てって凄い」と大いに実感した出来事でした。

 一部の証券会社ではETFの積立てもできるので、必ずしもアクティブ型でなくても良いかもしれませんが、グロース・バリューに限定せず相場動向に対応していくブレンドタイプなどではファンドマネージャーの力が発揮されやすいと思います。共感できるアクティブファンドを持ち続けることが、のちのちパフォーマンスに貢献してくれるかもしれません。

今回のポイント

1.国内株式型ファンドは、日本株を手掛けていても、ファンド選び次第で有効!
2.ドル・コスト平均法、強制力があるは、
  投資信託の積立て購入は人間に欠けている長所をもつスグレモノ!


知っておきたい一冊
日経新聞をとことん使う株式投資の本日経新聞をとことん使う株式投資の本

作者: 前田 昌孝
出版社/メーカー:日本経済新聞社
価格: ¥840(税込)

中長期的に株式投資を続けていくうえで必要な“株式市場に対する理解”が一冊でぐっと高まる本。それでいて、わかりやすい。指標の解説ひとつとっても、単にPERは大切といわれてもピンとこないが、昨今の株式買い集め事例からひも解くなど自然に重要性が感じられる内容です。このところの市場動向を整理しておきたい人にオススメ。

 野尻美江子

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2007-02-20 17:01  nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 
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Vol.55 国内株式型投信の存在意義について

今回は、同じく分散投資先候補のひとつである国内株式型ファンドについてみていきましょう。

■国内株式型は必要?

 日本株を手掛けている皆さんにとって、最も馴染み深いのが、この国内株式型であり、このセクターのファンドは、日頃、私たちにとってライバル的存在といえるわけです。

 国内株式型ファンドをじっくりみていく前に1つ整理しておきたいことがあります。それは、“投資信託に何を期待するか”というポートフォリオづくりの基本部分の話で、これまでのセクター紹介でみてきたように、“自分でフォローできない部分こそ投資信託に任せる”と考えるなら、一見、自らも参戦している国内株式市場にわざわざ手数料の掛かる投資信託経由で資金を向けることはナンセンス?!あるいは魅力に欠けると感じている方も多いと思います。

 しかし、各市場の上場銘柄数を考えただけでも、すべてをフォローするのは実質不可能で、店頭銘柄の細かい動向や複数の値嵩さ銘柄を持ちきることができるかどうかまで考えると、ファンドの特徴と自分でフォローできない部分が重なれば、他のセクターと同様に、投資信託経由で購入するメリットは実感できると思います。

■国内株式型の種類

 早速、ファンドの特徴をチェックするために、国内株式型の種類をみていきましょう。

 国内株式型は、投資対象とする企業群によって、以下のようなタイプに分類することができます。

一般型:幅広い視点で、日本企業の株式に投資。
大型株型:時価総額が大きい、発行済株式数の多い日本企業の株式に投資。有名企業がほとんど。
中小型株型:時価総額が小さい、発行済株式数の少ない日本企業の株式に投資。個性的企業が多い。
店頭株型:ジャスダック市場・東証マザーズ・ヘラクレスなどの新興市場に上場する日本企業の株式に投資。

 まずは、日頃、自分がウォッチできない部分にフォーカスしたタイプのファンドをピックアップして、ファンドマネージャーのこだわり・基準価額などの運用成績・手数料などを考慮して絞り込んでいくことになります。さらに、同じ企業群を投資対象としていても、成長株に投資するグロースタイプ・割安株に投資するバリュータイプ、あるいは特にどちらかに限定せず相場動向に対応していくブレンドタイプといったコンセプトがあるので、自分の相場観を発揮し、上位組入れ銘柄の変化や運用会社の個性なども踏まえて、あなたが信じて託せるファンドを決定していくことになります。次回は、現在のあなたのポートフォリオに国内株式型ファンドを組入れるかどうかという視点で考えていきたいと思います。

野尻美江子

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2007-02-13 17:11  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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Vol.54 外国株式型ファンドのいろいろ

 今回は、数ある外国株式型ファンドの種類をみていきましょう。

■外国株式型ファンドの種類

グローバル型
日本を除く、世界主要先進国の株式に分散投資することができる。外国株式型のスタンダード的存在。一般的なファンドほど、素直に、分散効果を期待できるはず。なかには、“ワールドウォーター”や“ワールドゲノム”などテーマを絞っている個性的なファンドもある。最近設定が多いのは、“世界好配当”など安定した配当に軸を置いたものだが、定期的な分配金にこだわらないなら、国別・セクター別のウエイトに注目しながら、中・長期的に成長が期待できるファンドを選びたい。
        
北米型
主にアメリカの株式市場に投資することができる。米国株全般を投資対象とするものから、NASDAQ市場を対象とするものや、大型株・優良株・小型成長株に特化したものなどさまざま。 投資銘柄数を絞れば、当然、1銘柄あたりの影響度は高まるので、相場観をフルに活かして選定したい。

欧州型
東欧圏を除く、欧州先進諸国の株式市場に投資することができる。欧州株・ユーロストックなど欧州全体に軸を置くファンドが多い。投資する際には、ユーロ相場の動向にも注意したい。

アジア・オセアニア型
アジアや豪州、環太平洋の株式市場に投資することができる。アジア全般に投資するファンドやアジア・オセアニアを投資対象とし配当を重視したファンドもあるが、勢いがあるのは中国株ファンド、インド株ファンド。

新興国型
BRICs諸国へのまとめた投資や、東欧、中南米などの株式市場に投資することができる。BRICs全般を投資対象とするものや、ヨーロッパの工場として有名な東欧諸国、及びロシアを投資対象とするものなど。リスクは高いが成長余地も大きい。

夢を持てる外国株式型ファンド

 最後に、投資期間の長い若い世代が、少額の余裕資金を向けることで、夢を描けるファンドとして、新規設定も多いインド・中国について簡単にまとめておきたいと思います。

インド
昨年5月のような急落は今後も起きて不思議はない。米国景気の減速などの外部要因に弱いのも事実。しかし、GDP(国内総生産)8%台の高い経済成長率に加え、時代のニーズを捉えた新興企業が次々に生まれており、PER(株価収益率)にみる割高感を払拭する勢いを続けている。ファンド選びにあたっては、銘柄構成とともに現金比率に着目したい。       

中国
かなり以前から、'08年の北京オリンピック、'10年の上海万博に向けた経済成長が期待されてきた中国。'01年から続いた株安で足踏みを続けてきたが、昨年、中国の上海総合株価指数は2倍を超える上昇となった。ファンド間には運用成績に違いも出てきている。ネット関連銘柄への投資判断や、銀行・通信など幅広い業種への投資をどのようにみるかがファンド選びのポイントになるかもしれない。一部の証券会社が取り扱っている、直接投資できないA株を投資対象としたA株ファンドにも注目したい。

 ファンドの強みをフルに発揮できる外国株式型ファンドを組入れることで、分散効果による底堅さも、夢を描くこともできるのです。

今回のポイント

1.外国株式型ファンドは、ファンドの強みをフルに発揮できる頼もしいセクター!
2.底堅さを追求するか、夢を描くかは、ファンドの選び方次第!!


知っておきたい一冊
ピーター・リンチの株の教科書―儲けるために学ぶべきことピーター・リンチの株の教科書―儲けるために学ぶべきこと

作者: ピーター・リンチ, ジョン・ロスチャイルド
出版社/メーカー:ダイヤモンド社
価格: ¥1,785 (税込)

13年間で基準価額を25倍にした、かの有名な「マゼラン・ファンド」のポートフォリオ・マネージャー ピーター・リンチ氏の名著。「買うのは企業、株ではない」という信念と「市場から与えられた富みは社会に返す」という人生哲学を実践し、それを貫き通せる強さの秘訣が詰まっている。迷ったとき、運用の素晴らしさを改めて実感したい人にオススメ。*本書は「ピーター・リンチのすばらしき株式投資」を改題した新装版である。

 野尻美江子

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2007-02-06 17:02  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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Vol.53 投信の強みが実感できる外国株式型

 今回は、同じく分散投資先候補のひとつである外国株式型ファンドについてみていきましょう。

■外国株式型ファンドとは

 外国株式型ファンドを一言でいうと、海外の株式市場に上場されている株式を主な投資対象とする投資信託で、外国株式型あるいは国際株式型などと呼ばれているセクターです。
 
 ひとりでは、同時かつ継続的なリサーチが不可能に近い世界中の株式市場に幅広く投資できることが最大のメリットであり、個人的には、この外国株式型こそ、ファンドの強みをフルに発揮できるセクターだと思っています。特に、日本株の個別銘柄を中心に投資している人や国内株式型のファンドを既に保有している人が、外国株式型ファンドを組み合わせて保有することで、ハイリスク・ハイリターンに分類される株式において、投資エリアが一気に広がることになります。ただ、外国株式型と一口にいっても、多数の個性的なファンドが存在するのがこのセクターの特徴。まずは、捉え方と注意点をみていきましょう。
  

■外国株式型ファンドの捉え方・注意点

 皆さんが、外国株式型ファンドで真っ先に思い浮かぶのはどんなタイプのファンドでしょうか?具体的な話は次回に譲ることにしますが、ほんとうに多種多様なのです。

 余談ですが、私は小さい頃、オリンピックを観ていて、「どうして外国の選手はみんな強いんだろう?」と思ったことがありました。なんということはなく、日本人選手も健闘していたのに、日本という視点でみると、他の複数の国々の選手の違いがよくわからなかったのです。同じように、外国株式型ファンドを、ただ「外国」「国際」としてみてしまうと、ファンドの特徴がしっかり理解できず、勢い任せで購入してしまう可能性が否定できません。外国株式型に分類される数あるファンドがそれぞれ目指しているものは何か、得意とするものは何なのか、どこの国・どの市場のウエイトが高いのか、その国の将来性はどうかなど、一度、託したらプロの運用を信じるしかないだけに、自分の相場観・考えと合っているファンドかどうかを吟味しておくことが大切です。

 そしてもうひとつ、海外市場に投資する外国株式型ファンドには、為替リスクが存在します。日本国内で設定・運用されている外国株式型ファンドは、円で集めた運用資金を海外に投資しています。そのため、組入れられている投資対象の株価動向に加えて為替レートによっても、最終的な運用成績は左右されてしまうのです。基準価額は円ベースで表示されていますが、これは為替レートを踏まえたもの。よって、為替ヘッジ「あり」・「なし」と2つのタイプを設定しているファンドも多いのです。確かに、為替ヘッジなしのタイプを選んだ場合、株価の動向は堅調でも、円高による為替差損で基準価額が下落することがあります。ただ、為替リスクはあくまでリスク(幅)であって、円安に振れて、基準価額を引き上げてくれることもあるわけです。またまた個人的には、外国株式型ファンドを保有する意義のひとつに、外貨の恩恵も含めたいと考えています。分散投資効果のもと、長期投資・保有を前提とするのなら、為替ヘッジなしで海外の動きをダイレクトに見守っていきたいというのが私のスタンスです。外国株式型ファンドには、他にも、信用リスクや国別リスクなどが考えられるので購入にあたっては事前に理解しておくことが必要ですが、とにかく、国内株式型と違って、為替の影響を受けるファンドであることを覚えておきましょう。

  次回は、数ある外国株式型ファンドの種類をみていきたいと思います。

野尻美江子

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2007-01-30 15:17  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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Vol.52 日本株に安定を加えられる外債!

 今回は、株式投資を続けている人にとっての外債ファンドについて考えていきたいと思います。

■本来の日本株のウエイトとは・・・

 VOL49でお話したように、バランス型になぞらえた投資先の一角を占める“外国債券”ですが、株式投資に比べて、ミドルリスク・ミドルリターンに位置付けられる外債の組入れをなぜ検討する必要があるのかといえば、それは1年の収支などを考えたときに、ある程度、安定したリターンを追求できる可能性が高まるからです。

 リスク商品への投資が、日本株のみで、特に新興市場のウエイトが高いと、年単位でみた収益も、相場動向に大きく左右されてしまいます。もちろん、期待した通りに相場が展開すれば、「外債などに分散しなくて正解だった」となるわけですが、幾度となく経験してきたように、何が起きるかわからないのが株式市場というもの。私たちが追求しているのは、日本株を売買することではなく、目的に応じて定めた期間で期待するリターンを享受すること。最初、あるいは、相場動向によっては、株式のウエイトを格段に高める戦略が有効となることもあるわけですが、特に、“日本株とは値動きの相関性が低い外債”の長所を意識しながら、セオリー通りの投資対象と比較検討したうえで、日本株のウエイトを決めるのが本来のすがたなのです。

■外債ファンドと現在の環境

 早速、現在の状況を踏まえてみると、日本株とは異なる値動きが期待できる外債ですが、私のように、日本の金利は緩やかながら上昇が予想されると考えているなら、外債ファンドにはネガティブにならざるを得ないでしょう。金利が上昇すれば、円高傾向が予想され、さらに、個人向け国債などリスクの極めて低い金融商品の金利が上昇すれば、外国債券の魅力が薄れるからです。それでも、金利の上昇はもう少し先と考えていたり、株式投資の荒い値動きにはホトホト疲れたし、定期的な分配金が欲しいという人や、ウエイトは見直しつつも、常に分散を心掛けておきたい人には、ミドルリスク・ミドルリターンが信条の外債ファンドは、投資先のひとつになり得るわけです。

 ひと口に外債ファンドと言っても、高格付を条件に世界の幅広い債券に分散投資しているものや、エマージングボンドでハイリスク・ハイリターンを狙うもの、広く高格付の債券に投資するよりはブレは大きいものの、ツボにはまると高めのリターンが期待できる、資源国に限定した高格付債に投資するものなどさまざまです。これを機会に、外債ファンドにも目を向けてみると、日本株でツライ相場展開が続く時、光明を見いだすことができるかもしれません。

今回のポイント

1.外債ファンドには、「そこそこ高格付・まあまあの金利」が期待できる!
2.パフォーマンスに安定を期待するなら、
  日本株とは値動きの相関性が低い外債・外債ファンドを活用しよう!!


知っておきたい一冊
投資の木の育て方投資の木の育て方

作者: 木下 晃伸
出版社/メーカー:ランダムハウス講談社
価格: ¥1,470 (税込)

思わず、「そうそう!」とつぶやいてしまうこと数知れず。このサイトをご覧頂いている皆さんなら、きっと共感して頂ける一冊だと思います。私とはまた違う表現で、日々の値動きを追いかけることが株式投資ではないこと、ETFがいかに優れているのか、株式市場及び会社を動かしているのは人間であること・・・などなどが伝わってきます。リスク商品の力を借りて、夢や目標を実現したい人にオススメ。

 野尻美江子

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2007-01-23 15:13  nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 
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Vol.51 外債ファンドの魅力を探る!

 今回は、分散投資先の候補のひとつである外債ファンドについてみていきましょう。

■そもそもの外国債券について

 外債ファンドを一言で説明するなら、外国債券を主な投資対象とする投資信託と言うことができます。そこで、まずは外国債券についてみていきましょう。

 外国債券でイメージしやすいのは、アメリカ合衆国が発行する“米国債”やドイツ連邦共和国が発行する“ドイツ国債”などがあるかと思います。これらの先進諸国の国債は、世界的な信用度が高いため“高格付” AAA(トリプルエー)などに位置しており、債券投資のリスクのひとつである信用リスクが極めて低い投資対象といえます。

 一方、エマージング債として注目されるものには、南アフリカやメキシコなど新興経済国・発展途上国の国債などがあり、信用度が低く“低格付”に位置していますが、その反面、適用される金利は高く、無事償還を迎えれば大きなリターンを享受できる仕組みになっています。

 つまり、先進国の債券は「高格付・低金利」、エマージング諸国の債券は「低格付・高金利」で、現在、既に充分な資金があって資産の目減りを防ぎたいなどという状況にあれば、迷わず先進国の債券を選ぶことができますが、限られた余裕資金のなかで、運用効率を追求して、年率○○%を実現することを目標にリスク商品を活用している多くの人にとっては、リスク許容度を理解している人ほど、とても難しい選択になるわけです。

 そこで登場するのが、高格付の先進諸国のどこか1国の債券に投資するよりも、高めの金利が期待でき、さまざまな国に投資先を分散することでリスクを低くすることを目指した外債ファンド

 あえて言うなら、「そこそこ高格付・まあまあの金利」が期待できる金融商品なのです。

 また、投資先を複数の国に分散することは、信用リスクを軽減することに加え、外債の運用成績に大きく影響を与える為替リスクを軽減することにも繋がります。ファンドの強みである“いろいろなところに少しづつ”の精神が、単独の商品には実現できないリスクとリターンの新しい関係を生み出しているわけです。
 
 手数料面からも、直接外債を購入した場合と外債ファンドを比較してみると、外国債券を直接購入した場合、多くの証券会社などでは、外国証券取引口座管理料などの管理料が“毎年”掛かるのが一般的です。そのため、ある程度の外債を運用していないと、定期的に支払われる、せっかくの利子(利付債の場合)が、口座管理料と相殺されてしまうことにも成りかねないので、事前の確認が必要です。一方、外債ファンドを購入した場合にも、他の投資信託と同様に、販売手数料や信託報酬が掛かってきます。少なくとも、手数料以上の運用成績が期待できるファンドを選ぶことは言うまでもありません。

  次回は、株式投資を続けるうえでの外債ファンドについて考えていきましょう。

野尻美江子

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2007-01-16 12:11  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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Vol.50 最適なポートフォリオづくりとは

 今回は、前回見てきたバランス型をなぞらえたポートフォリオづくりをするにあたり、どこまでを自分がリサーチしてみるかを考えてみたいと思います。

 一見、とても面倒なことに聞こえるかもしれませんが、どんなに親しい人でも本人でないとわからないことはたくさんあります。金融商品選びもそのひとつです。残念ながら、サポートをすることはできても、代わりに決断することはできないのです。

 余談ですが、同窓会などであった旧友に仕事の話をすると、「で、結局、どの商品が良いの?」と遠慮なく聞かれることがよくあります。そんなとき、私は「人によって良い商品が違うからFPって職業があるんだ」と答えています。
 
 この先ずっと、あなたを支えてくれるはずの運用に関する基本的なエッセンスを、今回は投資信託を中心にみていきましょう。今回のテーマは、ズバリ“自分で考える”あなたにとって最適なポートフォリオづくりです。

■自分でどこまでできるか

 今までにご紹介してきた金融商品の範囲内で、あくまで感覚的に、てま・ひまが掛かる順にまとめると、以下のようなイメージになるのではないでしょうか。

IPO・新興銘柄中心の個別株

大型・老舗銘柄中心の個別株

個別銘柄とこまめに投資判断を行いながらのアクティブファンド

こまめに投資判断を行いながらのアクティブファンド

バランス型ファンドや長期保有前提のアクティブファンド1~2本

ETFやインデックス型中心のファンド

 手間が掛かるかどうかに加えて、投資するうえで大切なポイントであるリスクとリターンの関係を個々のリスク許容度に応じて考慮したり、上記のファンドでは日本株をイメージしているので、外国株や債券ではまた違った認識になってきます。さらに、FXを含めた外貨投資や反対に個人向け国債・ネット定期などに対象商品を広げた場合にも異なってくるでしょう。

 また、私も含め、一概に個別株の方が投資信託よりリスクが高いとは考えていない方もいるでしょうし、自分のライフスタイルや投資対象のリサーチに向けられる時間や資金などを、総合的に、慎重に、判断して、くれぐれも“一時的な強い関心”で終わらない息の長い運用を楽しんでいきたいものです。

今回のポイント

1.基本ポートフォリオは、常にイメージしておこう!
2.最適なポートフォリオは、自分で探すもの!


知っておきたい一冊
ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まるウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる

作者: 梅田 望夫
出版社/メーカー:筑摩書房
価格: ¥777(税込)

ネット社会にまつわる、ここ数年に起こったことの本当の意味、これから先、起こるベくして起こるはずの変化を読み解くことができる。この本を読んでいて終始浮かんでくることは、“やっぱり、現代の異端児は後世の立役者なのかもしれない”というカタチのない確信のようなもの。ウェブ進化を丸ごと理解し活動する人に、冷やかしではないスポットがあたるとき、評価されている銘柄も読取れることでしょう。これから先も投資を続けていく方にオススメ。

 野尻美江子

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2007-01-09 16:50  nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
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Vol.49 自分でバランス型ファンドをつくる

 このサイトをご覧の方のなかには、VOL4748のバランス型ファンドの個性を見ていて、「自分で作れないものかなぁ」と思った、するどい方もいるかもしれません。そう、バランス型ファンドは最初から完璧なものを作ることは難しいけれど、バランス型をイメージしながら、少しづつウエイトを考えていけば、自分で作っていくこともできるのです。今回は、ファンドに投資するときのベースとなる“自分で作るバランス型”をイメージして、ファンドの個性をみていくシリーズの番外編として基本を抑えていきましょう。

■ファンド選びの基本ポートフォリオ

 銘柄選びでも然り、とかく人は、注目されるもの・人気があるものを=買いたいもの・自分にとっても有益なものと捉えてしまいがちです。一見難しそうなファンド選びもまさにそうで、売れているファンドの上位には、投資対象や運用方針が似たファンドが並んでいることもめずらしくありません。そこで、VOL45より、注目されている分配金がもらえるタイプのファンドや人気のバランス型を見て来たわけですが、本来、ファンド選びには、投資ニーズや自分の相場観などを反映させてバランス型をなぞらえたMyポートフォリオづくりをしていくことが必要不可欠です。

 どういうものかというと、
  
 左記の4つの投資対象をバランス良く埋めていくことが最も基本的なポートフォリオになります。もちろん、基本形のように投資資金を四等分してみるのも1つの方法ではありますが、ここに、自らの今後に対する投資判断を反映させることによって自分自身が納得できるポートフォリオにすることができます。さらに、4つの投資対象に加えて、REITやコモディティーといったセクターにも資金を配分するかどうか、そのウエイトをどうするかなど、総合的に判断するには、預貯金や今後のライフイベントまでを踏まえて、適宜見直していくことになります。

 金融商品選びは、旅行の手配と同じように、人に任せれば任せるほど、コストは掛かるけれど手間は掛からなくなり、知識や経験を積んで自ら動けば動くほど、手間・ひまは掛かるけれど、自分が納得できるものにどんどん近づいていくわけです。次回は、どこまでを自分でリサーチするかという視点で、最適なポートフォリオづくりを考えていきましょう。

野尻美江子

マネー
投資・運用生命保険自動車保険ローンクレジットカードキャッシングソニーグループ


2006-12-26 14:45  nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 
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