Vol.82 新興企業の銘柄は荒くなって当然?!
今回は、新興企業の銘柄について考えていきましょう。
皆さんは新興企業の銘柄についてどんな印象を持っていますか?
「ツボにはまると急騰する」「大型銘柄にはない大きな成長が期待できる」一方で、「トレンドが崩れると回復が難しい」「悪材料はおろか想定の範囲内の決算発表をすると大きく売られる」などといった意見が多いのではないでしょうか。
つまり新興企業の銘柄には、
『値動きが荒く』、『みんなの期待がとても大きい』という特徴があります。
それでは次に、新興企業の銘柄とは、企業としてどのような段階にあるのでしょうか?
時価総額が大きく日本を代表する大型企業には、たいてい複数の収益柱が存在します。一方、新興企業の銘柄には、時代の流れをうまく捉えて急成長した1本の太い柱が屋台骨であるところが少なくありません。時には大型企業もうらやむような太い柱である場合もありますが、長期的な企業経営を考えるとリスク集中の体制には不安を感じざるを得ません。
例えとしては、あまり相応しくないかもしれませんが、何らかの得意分野に特化したビジネスモデルのリスクとして思い出されるものに狂牛病の一件があります。今から6年程前、日本で狂牛病の危険性がクローズアップされました。私が住んでいる街でも、そのことが原因としか思えない時期に焼肉屋さんが潰れてしまいました。もちろん、そのツライ時期を生き抜き、個人消費も徐々に回復してきた昨今、大繁盛の焼肉屋さんはあるので、ダメージはあるものの、特化ビジネスが絶対にダメということではなく、それをカバーできる優位性や特徴があればやっていけるのでしょう。
ただ、企業が大所帯になればなるほど、特化ビジネスというビジネスモデルには景気・為替動向・消費者の心変わりなどを踏まえると、大きなリスクが付きまといます。
あなたが世の中に受け入れられる何らかのヒット商品・サービスを事業化して、上場まで漕ぎ着けた企業の経営者だったら、その先の経営の舵取りをどのようにしていこうと考えますか。
ひたすら得意とする商品だけを大切にするでしょうか。それとも、商品は1つでも海外進出を考えるでしょうか。あるいは、製造工程などから応用できる技術を利用して新商品の開発を開始するでしょうか。ヒットを実現した嗅覚を活かしてまったく別のビジネスを構築するでしょうか・・・。
とにかく、新興企業は“良くも悪くも手さぐり”なのです。
次回は、そんな新興企業の銘柄との付き合い方をみていきたいと思います。
作者: NHK取材班
出版社/メーカー:日本放送出版協会
価格: ¥ 1,050 (税込)
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野尻美江子
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