Vol.79 新聞をヒントにした投資の失敗?
今回も、株式投資で失敗と受取られがちなことについてみていきたいと思います。
私たちの日常には、能動的になりさえすれば、情報が途切れることはありません。今回は、多数ある情報ツールのうち、新聞についてみていきましょう。
例えば、新聞の見出しに、「5期連続で増収増益を達成」というA銘柄と、「増産に向け新工場建設へ」というB銘柄があったとします。どちらも企業の好調ぶりを伝えていますが、株価への影響度がより大きいのはどちらでしょうか?
株式投資に絶対はないので、正確には、傾向が強いのはどちらでしょうか?とするべきかもしれませんが、一般的にみて、A銘柄の見出しは、5期前から前期までの業績が順調に伸びた過去のことを伝えています。もちろん、その分会社の体力は増強されていて、今期以降の伸びも期待できるかもしれません。でも、それを判断するには通期の見通しや今期の生産計画などを確認する必要があります。
一方、B銘柄の見出しは、ある程度そのセクターをリサーチしておくことによって、商品の売れ行きが絶好調で、かつ継続的な需要が見込めると会社が判断した結果だと読み取ることができます。突然ですが、ここで昨年の夏の甲子園を思い出してみてください。
今も人気の“ハンカチ王子”が誕生した年ですよね。その直後は、そのハンカチがどこのメーカーのものか話題になりました。でも、そのハンカチが広く世の中に出回ることはありませんでした。メーカーが増産を決断しなかったからです。今から増産しても、実際に店頭に並ぶ頃には、寒くなっているし、ハンカチ王子の人気はさておき、“そのハンカチが欲しい”というニーズは沈静化しているのではないかという冷静な判断がメーカーにあったためです。きっと、その判断は正しかったのでしょう。
つまり、会社が増産体制を決断するのは、事業規模にもよりますが、根拠を持った裏づけとともに、経営者としての勇気がいることなのです。その判断こそが経営手腕であり、有能な経営者が増産を決めたということは、継続的な需要が見込める要素があるとみることができます。
『新聞からは、誰でもわかる直接的な内容よりも、小さな記事だけれど、つなぎ合わせればその企業の底堅さが確認できるような有益なヒントをピックアップしてみましょう。』
というのも、株価に与える影響として、直接的なものは比較的息が短く、底堅さの積み重ねは水準訂正に繋がるような息の長い情報になることが多いからです。
新聞記事をヒントにしての投資が、突発的な材料に注目した短期なのか、中・長期的に期待した投資なのかによって、失敗かどうかがわかります。よって、底堅さを確認しながら、継続的な業績への寄与を期待した中・長期投資なら、現時点での一定の含み損を失敗とはいえないのではないでしょうか。
新聞記事をヒントにした投資を失敗に終わらせないポイントは、“その記事の影響度を見極める”ことにあるわけです。
1.一見、損切りという失敗にみえても、
資金効率を高めるための積極的な挑戦の場合もある!
2.新聞記事などで影響度を見極めながらの中・長期投資なら、
現時点で一定の含み損があっても失敗とはいえない!
野尻美江子
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