Vol.68 取引にみる利益確定と損切り
今回は、前回考えた、期待値からみた有利性と実際の取引についてみていきたいと思います。
前回考えてみた、2つの質問からいえることは、
投資家には、
利益を得る場面では不確実性が生じるリスクを嫌い、
損失を被る場面では実損を避けたい気持ちからリスクを取りにいく
傾向があるということです。
この結果、
運用を続けていくうえで、最も避けなければならないはずの
少しの利益を確定して、大きな損失を放置すること
を選択してしまうのです。
では、どうしたらいいのでしょう?
明らかに、資産がなかなか増えない原因が、少しの利益を確定して、大きな損失を放置してしまっていることにあると思い当たる方は、基本にたち返って、その銘柄を買う前にイメージした利益確定の水準と損切りの水準を、感情に流されることなく機械的に実行していく売買を一度取り入れてみるのはひとつの方法でしょう。
ただ、人間にはこのような感情に流されてしまう傾向があることを踏まえながらも、損失が出ている現状に対して、個人だからこそ待てる時間を利用して、成長が期待できる厳選銘柄を持ち続ける手法もありだと思います。その場合の条件としては、かつて自分が投資を決めた価格よりも安い今の株価をみて「ナンピン買いしかない!」と思えるかどうかにあるでしょう。つまり、自分のポートフォリオに今は損失を与えている銘柄だけれど、それでもその銘柄を買いたいと思えるくらいの期待が持てるかどうかを冷静に考える必要があるわけです。利益確定も基本的には同じで、「この銘柄の実力はこの程度ではない!」と思っているのなら、たとえ、短期的な調整などで少し出ていた利益がなくなってしまっても、再び上昇してきたとき素早く買いにいける自信がないのなら、のちのちその銘柄が思ったとおりに評価されたとき悔やみきれないことになるので、振り回されない意思を持つ方が“賢明な選択”だといえます。
そして、時折、運用する目的への進捗率を年単位などで考えてみます。そもそも、運用する目的を叶えるために、リスクをとって、時間を使って、自らの手で、運用していくのが個別株への投資ですから。
短期売買向けの資金、中・長期投資向けの資金の配分やどちらかのスタンスへの集中など、相場環境を見極めながら、ブレない自分の手法を確立していく(努力をする)ことが大切ですね。
1.投資家は、無意識のうちに感情に左右されていることが多いのが現実!
2.感情に流されず、ブレない自分の手法を確立していく(努力をする)ことが大切!
作者: 吉本 佳生
出版社/メーカー:光文社
価格: ¥1,260 (税込)
少し前に発行されたものですが、今も氾濫する金融広告の“正しい解釈の仕方”がまとめられています。まともなリスク商品をみんなで支えていくためにも、正しい判断を周知させることは重要!事実を知らずに金融機関のテーブルにつく怖さとともに、金融商品は儲けがはっきりみえるめずらしい商品であることもわかります。投資経験ごとに楽しめる一冊。
野尻美江子
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